きんのいれば

ポケモンGB世代の老兵によるメモ入れ場。

ポケモン対戦考察同人誌を作って思うこと①

今年の夏コミは早めに脱稿できたので、作った本の拘ったところについて何回かに分けて書いていきたいと思います。

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【ノスタルジア上巻】
本には「始まり」があって「終わり」がある

WEBサイトではマリオのステージ選択じゃないのですが、何処でも調べたいところを好きにジャンプできるような作りにしています。その一方で紙媒体の同人誌は「始まり」があって「終わり」があります。つまり、読まれる順番というものを考える必要があります(…と言っても攻略本に読む順番もクソもあったものではないのかもしれませんが…)

そこで収録したい記事とその順番(頁構成)を副代表のERRORさんと制作初期に考えました。順番についてはGB世代(赤緑青ピカチュウ&金銀クリスタル)の対戦の魅力をプレゼンテーションするつもりで、なるべく関連性のあるものを並べて作りました。

冒頭(※下巻は異なる)については【ニンテンドウカップとは?】…にしました。この本は『株式会社ポケモン』ではなく、自分がポケモン以外の作品でも憧れる『任天堂株式会社』が主催した公式戦のルールを取り扱う本であるという意思表示をしています。

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頁の構成は『ポケフリーク』を参考にしました。

【ノスタルジア上巻】
ポケモンGBバトル基礎

まず、はじめに攻略本あるあるの基礎知識の頁から作りました。そんなことは知っているからと読み飛ばされがちなところですが、実際のバトルの進行順(ゲームの処理順)に沿って、それぞれのセクションで生じる詳細な仕様について、第三世代以降のシリーズと比較して解説しています

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バトルの進行順をミスリードしないためのコンテンツ

こういった取り組みは第四世代(2006~2010年)発祥のポケモン対戦考察wikiaona氏の対戦考察サイトで始まったことで、初代は勿論、金銀の対戦界隈から生まれたものではありません。特性の発動順などで素早さ判別する上で、判定の順序を頭に入れておくことで立ち回りに差がつくからです。

金銀までの対戦は努力値配分もなく、仮想敵も少ないゆとり仕様(?)の対戦でしょうし、限界値のレベル別素早さランキングでも頭に叩き込むぐらいで良さそうに見えます。しかし、特性が存在しなくても、眠りで動かない時は混乱のターン消費がないとか、食べ残しや毒の判定順を間違えれば、状況判断を誤って立ち回りを間違えることは勿論、机上論で的外れな考察をすることにも繋がります。

他シリーズと比較すれば、シリーズの「特徴」と「魅力」が分かる

また、その他のポケモンシリーズと仕様が異なる部分は明確にしています。これは数あるポケモンシリーズの中で第1世代、第2世代のシングルバトルの魅力を紹介することにも繋がりますし、こういう地味な仕様変更で実践でも勘違いをしやすいからです。

そのような考えを持っているため、他世代との比較をきちんとしています。この本は1996年〜2002年に出す本だったらそうではなかったかもしれません。令和元年(初版は平成最後)にリリースした今だからこそできることは惜しみなくやっています。

【余談】

ちなみにこれは(初代と)金銀対戦界隈の大きな弱点なのですが、金銀でゲームのポケモンを卒業してる人があまりにも多く*1、いつまでも金銀が最新作と信じて、そのまま考察記事を作ってる人が多いです。役割理論や現代の対戦考察の土台を作った世代だとかで、それでいくらでも応用が利くなんて甘い世界ではないです。世代を追うごとにポケモンバトルのスタンダードは更新されています。私とて過去に失敗しています。

ちなみに『ヒストリアカップ』でも実況・解説役は初代や金銀の仕様しか詳しくない人には(私の方針として)振らないことにしています。GB世代の対戦がどうして魅力であるのか?…を今の時代に引き出す能力にやや欠けると思っているからです。最低限、最新作と過去作の両方の対戦を経験している方が望ましいですね。

【ノスタルジア上巻】
ポケモンGBバトル発展

基礎は「知識」で、発展は「技術」。第二世代は「役割理論」などの対戦理論が確立され、自分もそれを広めることに一躍買った所もあるので切るには切れませんでした。

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パーティの構築法に"絶対"はない。ヒントの提供に留める。

【ポケモンGBバトル基礎】と根本的な作り方は変わりません。パーティを組むときに誰もが自然と考えるであろう「交代先を考える」という思考の動線に基づいて「交代」について掘り下げたり、「選出」や「構築」という枠組みに収めるためのヒント(アプローチや手段と置き換えてもいい)をまとめています。構築の仕方に絶対はありません。

構築」というのは言わば「冷蔵庫」のようなもので、「選出」は弁当箱のようなものです。入れられるものには限りがあります。どこで妥協するか、何を残して何を切るかはプレイヤーに委ねられている所であって、それ以上のことをこの本では語りません

本書の言い回し

基本的に公式以外の造語を多用するのは好きではないので、造ったとしても、用語辞典で説明されなくてもニュアンスがイメージしやすそうな言葉しか用いないように心がけています。なお、本書に用語辞典はありません

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公式表現の概ね徹底と括弧の種類

一部地名などは例外ですが、技名を漢字表記にしたりしていません。略称も基本使っていません。なお、括弧の使い分けは『ポケフリーク』と同様ですが、性格の鍵括弧[]は『ポケモンバトルノスタルジアDX』では自由に使っています。

【括弧の使い分け】
  • 「技名」
  • 『持ち物名』
  • [性格名]
  • 〔特性名〕
「木」と「林」と「森」を知って「環境」を知る

これは自分自身がパーティ構築時において、より視野を広げて考えられるようになったと感じられた3つの節目毎に整理して書いています。たまたま[木を見て森を見ず」という有名な諺(ことわざ)があって物凄く親しみやすく分かりやすかったので、それをモチーフにしながら、これまでの実践経験に基づいた持論を展開しています。

造語は使わないが、キャッチコピーのように魂を込めたい

造語はあまり用いない一方で、自分の体に電気が走るかのような感動を覚えた『一言一句』については受け売りで本書でも使わせて頂いていたりします。「手段であって目的ではない」だとか「勝つということは相手を詰ませることだ」なんかがそうですね。ちなみに後者はGB世代で活躍した人ではなく、第5世代と第6世代で活躍しておられた方です(多分関西の人)。

私自身もまだまだ至らないところは多々ありますが、長ったらしく書けばいいというものではなく、どれだけ一言一言に魂を込められるかが重要ではないかと思っています。今は140文字*2にいかに魂込められるかが勝負の時代です。カッコイイキャッチコピーを作れる人は素敵ですし、憧れます。

「キャラランク」ではなく「相関図」を用いるワケ

ポケモンの世代問わずキャラランクで対戦環境を語る記事は見かけますが、本書では相関図で対戦環境を示すことに力を入れています。

キャラランク(番付)の具体的な発祥は分かりませんが、自分が長年在籍した金銀の対戦界隈ではスマブラDX(の1on1)のガチ対戦に手を染めた某氏が始めたことだったと記憶しています。

実は私自身この切り口に当初から違和感があって暫く他人にお願いされるまで手をつけていませんでした。その違和感の正体は『ポケモンのシングルバトルは格闘ゲームと同じく1on1だが、対戦中に交代という選択肢が存在し*3、キャラクター間の明確な相性があること』でした。

それから暫くしたある日、twitterがWEBコミニケーションの主流となった第6世代のシーズン1の頃にポケモン対戦の相関関係ウォッシュロトムファイアローフシギバナウォッシュロトムを表す画像が流れてきました。それを見て感動して以来、相関図の作成をイメージしてキャラランクを作っていました。

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キャラランクに並んでる画像はただの見栄えをよくするだけのものであり、その並び順などに大した機能はありません。点と点に線が付き、ポケモン交代の動線を把握できる方がその対戦環境の理解は進むと考えています。ポケモンには絶対こっちの方が合っていると思っています。なかなかこのような取り組みがされない背景として画像を自分で作ることが億劫というのがあるのでしょう…。

【ピカブイ】
ポケモン対戦基礎知識

ポケモンバトルノスタルジア』の頁構成をベースとして作成していますが、公式ルールが存在しない上に、開発側のオンライン対戦のシステムがあまりにも手抜きすぎて、何を基準にして対戦環境を掘り下げればいいかわからなかった…という言い訳が書かれています(苦笑)。

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システムの仕様に基づいて、注意を払うこと、強力な戦法はどういったものであるかについて触れています。『ポケモンバトルノスタルジア』の「ポケモンGBバトル基礎」とほぼ同じ作りでバトルの処理順、命中判定、ダメージ計算に関する情報も収録されています。

また、Nintendo Switchでの、オフ会運営やブログ記事投稿など、今冬発売予定の新作『ソードシールド』にも通じそうな内容の話を少しだけ取り上げています。ピカブイファイアレッドリーフグリーンのようなこれまでのリメイク作品と違って、それまでに登場した既存のポケモンやそれに付随する技や特性、そして持ち物がすべて揃えられない作品です。『ソードシールド』もその方向性になるとのことで、現在進行形で世界的な炎上案件となっていますが、そのヒントとなる攻略サイトの作り方を提案するものにもなっているのではないかと思います。これは『ピカブイ対戦基礎知識』にかかわらずですね。

 

 

さて、軽い気持ちで書き始めたつもりが、結構書き始めると拘り多すぎですね…この人(笑)。次回は「ポケモン単体考察」「殿堂入りパーティ」「ノーマルルールキャラ雑感」の拘りについて色々書き記す予定です。コミケまでの気まぐれ更新です。

*1:これは『Gym Leader's Castle』の「Pokemon Battle Simulator」の影響も少なからずあります

*2:twitterの文字数上限

*3:キャラがころころ交代する格闘ゲームもあるが、根っ子にあるのは1on1