C94で頒布致しました日本最強のGB世代ポケモン対戦攻略本『ポケモンバトル:ノスタルジア』に掲載しておりました持ち物『はかいのいでんし』のGB(VC)での効果*1ですが、ここでアナウンスさせてください。
ここに来てのまさかの新事実発覚(ミュウツーイヤーとはこのことか…)により、『はかいのいでんし』の効果は持続ターン255の混乱にする効果ではなく、最後に自分の場で混乱していたポケモンの混乱の解除ターンを引き継ぐ。ただし、自分の場のポケモンが一度も混乱していない若しくはターン経過で自然治癒した場合は解除ターン256とみなされ、結果として255ターンの間混乱が継続する。…が正解です。今回はこの仕様を活かす記事ではなく、仕組みについて解説します。
- 交代とは自分の場のポケモンのデータを上書きすること
- 交代によって効果の消える混乱の扱い
- 破壊の遺伝子は混乱のフラグのみで継続ターンの指定がない
- 破壊の遺伝子の混乱が255ターンによくなるワケ
- 苦い木の実や奇跡の実は混乱のフラグしか直さない
- SPECIAL THANKS
交代とは自分の場のポケモンのデータを上書きすること
まず、本題に入る前にゲームサイドにとって交代は表示ポケモンのデータを上書きすることと捉えましょう。場のポケモンの交代をすると以下のデータ*2が新しく出てくるポケモンに上書きされます。
- ポケモンのニックネーム
- ポケモンの外見の種族(身代わりで変わることもある)
- ポケモンの中身の種族(専用アイテムの対応etc.)
- 持ち物
- 技1/技1の現在PP(最大PP)
- 技2/技2の現在PP(最大PP)
- 技3/技3の現在PP(最大PP)
- 技4/技4の現在PP(最大PP)
- 個体値(めざめるパワーのタイプと威力/性別)
- 現在HP/最大HP
- なつき度(恩返し・八つ当たり)
- レベル
- 状態異常(眠りの解除ターンも記録されている)
- タイプ1/タイプ2(テクスチャー・テクスチャー2で対戦中も変わる)
- こうげきの実数値(対戦中もランクで変動)
- ぼうぎょの実数値(対戦中もランクで変動)
- すばやさの実数値(対戦中もランクで変動)
- とくこうの実数値(対戦中もランクで変動)
- とくぼうの実数値(対戦中もランクで変動)
交代によって効果の消える混乱の扱い
混乱は所謂状態変化と呼ばれる括りとなりますが、交代でその効果がクリアされる能力ランクやメロメロなどとは異なり、交代でその効果が停止する特殊な状態変化です。
混乱については《判定フラグ》と《解除ターン》を別々に管理しており、その両方をひとつの記憶領域で管理している眠りとは少し事情が異なります。眠りは「判定フラグ&解除ターン」の両方とも控えデータにセーブして、次のポケモンの「判定フラグ&解除ターン」を新たに読み込みますが、混乱は「判定フラグ」をリセットして「解除ターン」はそのまま次のポケモンにも継続されます。
- 混乱の判定フラグ
→交代で消滅する/バトンタッチなら引き継がれる - 混乱の解除ターン(≒継続ターン)
→交代で消滅しない/バトンタッチでも引き継がれる
交代で混乱の解除ターンが消滅しないとうことは入れ替えたポケモンにもそのまま引き継がれているわけですが、フラグが立っていないので混乱の判定が行われません。時限爆弾のタイマーが一時的に止まっている。そんな状況であるわけです。
その時限爆弾のタイマーが再び動き出すことは通常ありません。勿論、相手の怪しい光や自分で暴れるを選択すれば再び混乱状態になりますが、混乱の解除ターンはそれらの技の効果(命令)によって解除ターンが新たなものに上書き(更新)されてしまうのです。この仕組みと「状態変化は交代で解除されるステータス異常」という認識によって我々は混乱の判定フラグも解除ターン(≒継続ターン)も交代によってリセットされているものだと思い込んでしまうのです。
破壊の遺伝子は混乱のフラグのみで継続ターンの指定がない
しかし、その止まっていた混乱の解除ターンのタイマーを再び動き出させる例外的なものがたったひとつだけあるのです。それが第二世代の限定装備品『はかいのいでんし(英名:Beserk Gene)』です。
【国内版金銀VC検証】
— ゴールド@ヒストリア杯主催 (@Gold_PBS) 2019年1月8日
通常の混乱状態のポケモンから破壊の遺伝子のポケモンに入れ替えるとその前の通常の混乱の持続ターンを引き継ぐことを確認。 pic.twitter.com/I2QkTf5YFa
破壊の遺伝子による混乱は判定フラグこそ立てるのですが、実は「何ターン相手を混乱状態にしなさい!」という命令を送っていなかったため、前のポケモンから引き継いで止まっていた解除ターンを引き継いでカウントがはじまるのです。これが近日(いつも一方的にお世話になっている)海外の動画投稿者(Crystal_氏)の功績によって明らかとなり、私が国内版で検証をしました。
破壊の遺伝子の混乱が255ターンによくなるワケ
あれ?GBの破壊の遺伝子の混乱って255ターンで実質永続じゃないの?
そう思った方も多いと思いますが、これからはこれが正確な回答にはならなくなります。何故なら前述のとおり、交代前のポケモンの混乱の継続ターン(≒解除ターン)を引き継いでしまうからです。では何故255ターンとなることが多いのか?それは破壊の遺伝子を装備したポケモンの前に自分の場にいたポケモンが混乱していなかったからです。
交代前の混乱状態になっていないポケモンの混乱の判定フラグも0で、解除ターンも0です。これを破壊の遺伝子によって混乱の判定フラグのみを立てます。破壊の遺伝子の発動ターンに混乱の解除ターン消費は行われません。
次のターンの技を繰り出す前に判定フラグが立っているため、解除ターンの消費(-1)をまず行います。解除ターンが4なら-1して3…、3なら-1して2…、2→1…としていくわけですが、解除ターン1→0となる瞬間に混乱の判定フラグを解除する処理が行われます。これで『こんらんが とけた!』となるわけですね。眠りなんかも1→0になった瞬間に目覚めて反撃ができます。
しかし、気になりませんか?これ解除ターン0の状態から1消費したらどうなるのでしょう?実は0より下の桁はなく、0より下であれば0にするといった特殊な処理もここではされていないので混乱が解けることはありません。交代前のポケモンから引き継いだ混乱の解除ターン0から1を引くとオーバーフローを起こし、解除ターンが0→255となり、結果として解除ターンが256の継続ターン255の混乱になってしまうのです。
苦い木の実や奇跡の実は混乱のフラグしか直さない
持ち物で混乱状態を発生させる破壊の遺伝子とは逆で、混乱状態の回復させる苦い木の実や奇跡の実も混乱のフラグしか直さず、混乱の解除ターンを0に戻していません。
苦い木の実(奇跡の実)で回復する場合は混乱の解除ターンが0にリセットされることがないことを確認。 pic.twitter.com/FSh2lHSM7R
— ゴールド@ヒストリア杯主催 (@Gold_PBS) 2019年1月10日
暴れるの混乱で1~4ターン混乱するところを苦い木の実で混乱回復していますが、その直後に破壊の遺伝子のポケモンを繰り出すと破壊の遺伝子は持続ターン255ではなく普通の混乱のように解除しました。つまり、持ち物でフラグ自体は元に戻していても解除ターンまではクリアされていないことがわかります。
今回は仕組みの解説でした。この仕様が今後の金銀VCでの対戦で実用的かどうかは分かりませんが、破壊の遺伝子にチャンスが広がりましたね。
SPECIAL THANKS
Crystal_ / 2nd-player(@user_2P)
破壊の遺伝子は混乱のフラグだけ建てて継続ターンのほうに値を入れてない。普通は初期値0でif(!--ConfuseCount){解除;}な仕様だから255ターン継続する
— 2nd-player (@user_2P) 2019年1月9日
*普通は混乱発生時に状態変化フラグと同時に継続ターン数が設定される
— 2nd-player (@user_2P) 2019年1月9日
*破壊の遺伝子での混乱発生時は状態変化フラグが立つだけ
*ポケモン交代のとき状態変化フラグはクリアされるが混乱の残ターンはクリアされない