きんのいれば

ポケモンGB世代の老兵によるメモ入れ場。

金銀対戦における体力管理の心得

 第2世代(金銀クリスタル)の対戦環境はそれ以降のシングルバトルと比べると異質であると色々な方からお話を聞き、実際に自分も現行世代対戦なども嗜みながらそうかもしれないなと思う今日この頃。恐らくその要因の主たるものは『寝言で眠るが成功する』ことにあるのではないかと考えています。

「過労死」のほぼ存在しない環境

 『寝言で眠るが成功する』ということは、ほとんどのポケモンが体力回復をしながら戦いやすい対戦環境であるということを意味します。それ故、その他の世代に比べると「過労死」しづらいわけです。言い換えれば、"死に際に少し削って後続のポケモンで倒す"という一連の行動があまり成立しづらい対戦環境であることを意味します。私がかつて経験してきた金銀対戦黎明期の全ポケモンに寝言と眠るを採用するような時代では現在ないものの、根本的にはそういう対戦環境であるという心持ちが必要です。

 現在の対戦環境で例えてみるなら、ミミッキュの化けの皮を剥いだからあとは後続でなんとかなるといったものではなく、ミミッキュの化けの皮までまるごと再生する技を持っているため、犠牲にした味方との連携攻撃で倒すという行動だけでは対策として不十分と考えて頂ければよいでしょうか。眠る&寝言を常に突破することを頭の中に考えておかなければならないということですね。

金銀対戦初心者が躓き易い『鈍い寝言眠る@食べ残しカビゴン』

 金銀対戦初心者の方が躓き易いポケモンとして大昔から有名なポケモンに鈍い寝言眠るカビゴンがいます。

f:id:Gold:20180106232913g:plain カビゴン♂ Lv.55

捨て身タックル鈍い寝言眠る@食べ残し】

 何故かと言えば、ビギナーの方は攻撃範囲を広げたフルアタック型のポケモンを採用する傾向が強く、それを完璧に止めることができ、爆裂パンチやメロメロ、催眠、日本晴れ→大文字、雨乞い→ハイドロポンプなどの中途半端な小細工如きでは崩されないポケモンであり、味方同士のダメージの蓄積ですらも落とし難いポケモンだからです。眠る&寝言の攻略手段にもなる一撃必殺技を禁止したローカルルールでの金銀VC対戦を行う機会も増えてきて、かなり苦手意識を感じている人も多いのではないでしょうか?(※公式戦の再現を重視する『ヒストリアカップ』では一撃必殺技の使用は制限していません)

 一見、ゴーストポケモンに対して打点を持たないので、ゴーストポケモンで止まりそうですが、ゴーストポケモンは追い討ちを覚えたヘルガーやブラッキーで処理すれば、カビゴンの突破ルートは開けます。相手のゴーストが電磁砲以外に攻撃手段のないムウマだけなら太い骨を装備したガラガラをぶつけて、完璧に受けきることができないガラガラの強攻撃を打ち逃げするというルートを取ることもできます。また、ゴーストポケモンに回復手段の眠るがなければ、サイクル戦の中で撒きびしの蓄積ダメージで突破するという方法もあります。

 岩と鋼ポケモンについては鈍いと眠るがなければ実は完璧な対策になりません。食べ残しを装備した吠える持ちのハガネールとて、カビゴンをラスト1匹に残されたら吠える(吹き飛ばし)は通用しません。鈍いと眠るを覚えていないハガネールでは、カビゴンが地震や火炎放射、地割れを覚えていなくても殴り負けます。また、ハガネールとカビゴンは同速ですが、カビゴンのレベルがハガネールよりも高い場合は(先制の爪が発動しない限り)大爆発をあてる前に鈍いを1回積まれてダメージを軽減されてしまいます。

 金銀対戦でも数的有利を取った方が試合を有利に進められる傾向が強いことに変わりありませんが、わざと手持ちの残りのポケモンを1匹にすることで、カビゴンの鈍い対策の相手の吠えるを潰すことで、自分の手持ちたった1匹から鈍いを積み切って眠る寝言で回復しながら、相手の手持ちポケモンを皆殺しにして逆転勝利するという勝ち筋になかなか気づけていない人が多いです。自分が負けた『アサギのとうだいオフ』のエキシビションマッチの影分身丸くなる転がるミルタンクもそうですが、ラスト1匹から逆転ルートなんかが全然在るわけです。

 このように金銀対戦環境がその他のシングルバトルと比較して過労死しづらく、「おまえは過労死するけど、俺は過労死しない」を徹底しているコンセプトが、55カビゴンの鈍い寝言眠るを中心としたパーティになるわけです。

【金銀対戦独自の立ち回り】捨て出し食べ残しターン稼ぎ

 ちなみに金銀で過労死させることがそれ以降の世代と比べて難しい理由はもう1つある。実は味方が瀕死になった直後に食べ残しを持ったポケモンを場に出したターンでも食べ残しの回復が発生するということである。味方を捨てることでカビゴンの食べ残しを稼ぎ、カビゴンが先攻で殴られても急所さえ引かれなければ1発耐えて、眠るを選べるまで体力を回復し、眠る→寝言→鈍いで逆転するという立ち回りが存在します。私も過去に何度もやってますし、金銀対戦の熟練者は全員このテクニックを知ってます。

過労死することを前提とした「選出抑制」は通用しない 

 以前…というか前回大会かな?水ポケモンが沢山いるから地面ポケモンは出し辛いだろう→地面対策を切って選出としようという発想があって少し驚いたことがあるのですが、これも実は金銀の対戦では通用しづらいというだけなのです。

 この発想は水ポケモンを3匹当てると地面ポケモンが腐って起点にされ、電気ポケモンが過労死することがそもそも大前提に多分あって、それを嫌ってできないであろうという考え方だと思うのですが、電気ポケモンが体力を回復しながら戦えるワケなので、まず過労死しないですし、地面ポケモンもそういったポケモンと一緒に選出すれば全然選出できてしまうわけです。水ポケモンを3匹入れたことで地面ポケモン3匹選出は封じられるでしょうが、地面ポケモン1匹の選出の抑制には到底なり得ないわけです。

 ただし、眠ると寝言でどうしようもない火力の技があります。それが超火力の自爆・大爆発になるわけです。流石にパルシェンの大爆発を交代際に電気ポケモンが被弾して相打ちになり、その他の水ポケモン対策がいなくなってしまったら圧倒的に不利になってしまいます。基本的にダメージの蓄積による過労死による役割集中はありませんが、自爆や大爆発による事故死による役割集中は細心の注意を払う必要があるわけです。

寝言眠るを全員採用する方が強いのか?

 眠ると寝言がとにかく強いように見える書き方を続けてますが、結論から言うとそんな時代もありましたが、そうではありません。悪夢というゲームフリークが用意した寝言&眠る対策技の存在もありますが、寝言と眠るのデメリットとして技スロットを半分喰われてしまうと攻撃が単調に成りかねないところがあります。爆裂パンチや冷凍ビームの追加効果などに少し期待はできるにしても、突破力は大幅に落ちるわけです。

 前述した通りですが、相手を先に倒せば試合運びが有利に進むところは金銀対戦でも変わりありません。数的有利を取れば強い大爆発や滅びの歌と言った技もあります。今は受け出せる催眠対策として使われていることの方が大半ではないかと思います。特にバーチャルコンソール版では眠りのターンが1~6と長い為、自爆や大爆発で短期戦を仕掛けられないのであれば、寝言と眠るは採用しておきたい技でもあります。

持久力より突破力優先のポケモンは体力管理に注意

 また、金銀の対戦はそれ以降の対戦と比べると耐久力が高く感じられ、特性や強い持ち物がない分、ゲーム展開もゆっくりめであるわけですが、サンダース対寝言雷ライコウなど倒すのに少しだけ時間がかかったとしても、対面でいずれ負けることが分かっているのであれば、不利対面で無闇矢鱈に運要素依存の攻撃技や変化技などを振り回すのはリスキーな選択となり、基本は交代を選択した方が良いことが大半です。

 カウンターやミラーコートを除き、不利対面から展開することは負けの合図です。金銀対戦に弱点保険はありません。爆裂パンチも威張る(メロメロ)←身代わりも相手が交代すると分かっている(若しくは相手が仮に居座ってきてもまだ余裕がある)有利対面から仕掛けることがサイクル戦から対戦文化を繁栄させてきた金銀対戦の展開の絶対的な鉄則になります。

 相手の過労死を狙いづらい対戦環境であると言いましたが、回復手段のまともにない(≒その分突破力にリソースを割いている)ポケモンを過労死させないように立ち回ることは当然重要になります。勝負に出る場面を急ぎ過ぎたことが負けに直結していて勿体ないなと感じられる試合もよく見かけます。

タイプ相性で分かりづらい対面について把握しておこう

 タイプ相性で大体どちらが有利かどうかはダメージ計算ツールを叩かなくてもある程度分かるのですが、弱点の少ないノーマルタイプのポケモンが強い対戦環境なので、カビゴンやミルタンクとの対面で殴り勝てるかどうか知らないと躓きます。

 例えば、勘違いしやすいところで言うとレベル50の太い骨を装備したガラガラではレベル55のカビゴンに対面で殴り勝てないとかその辺ですかね。レベル55の太い骨を装備したガラガラの地震でピッタリ2発で倒せるレベルなので、レベル50では確実に耐えられてしまいます。

 致命傷は与えられるので後続のポケモンの攻撃と合わせて過労死させるレベルまでは削れるわけですが、前述のカビゴンの味方サイドを犠牲にした食べ残し回復テクニックを用いたり、カビゴンの味方のスターミーやサンダーの電磁波、ナッシーの痺れ粉で麻痺*1を相手に入れて捨てることで、カビゴンが先手を取って眠るを選べるようにして復活させることができてしまいます。カビゴンの回復が成立してしまうと50ガラガラの捨て身の行動はなんだったのだろうか?ということになるわけですね。

 55寝言&眠る&鈍いカビゴンの攻略法については一撃必殺技を当てなさい以外のことを長々とこの記事では書きませんが、金銀対戦のバックグラウンドに合わせた体力管理を心掛けられているかどうかを完全に試される構築になるわけですね。ひとまず、そういうタイプの構築を倒せるような構築プランと立ち回りを身に着けることが、もう一歩強くなりたい人の大きな壁になるのではないでしょうか。

*1:当時の麻痺の素早さ補正は1/2ではなく1/4