レベル55で進化するカイリュー(バンギラス)の参加できるレギュレーションの『ニンテンドウカップ』では、戦闘で持ち寄る手持ちのポケモンのレベルの範囲とその合計のレベルの制限があるという今となっては特殊なルールが採用されている。これは第三世代以降、特にHGSS以降のレベルフラットルールが適応されてる世代としては大変珍しいものであろう。
GB世代には努力値配分の代わりにレベル配分があると例えることも多いが、前者はポケモン単体レベルの強さ調整であって、後者はパーティ全体レベルの強さ調整であり、どちらかというと持ち物の振り分けに近いところがある。
初代と金銀のレベル配分の比較に関する話題については以前、記事にさせて頂いており、金銀に比べてバランス配分が活躍できるのではないだろうかという話をしたが、今のところ、これまでの初代の《ヒストリアカップ》をはじめとするオフ、対戦会では、1匹のポケモンを尖らせるエース配分が優勝している。これは一度上げたレベルを元に戻すことができず、かつ厳選・育成が後の世代より困難だということもある。
バランス型構築のコツ?
手持ちの3匹のうち2匹はミラーで勝てるようになる。これが敢えてレベルを1匹に尖らせないことの一番大事な狙いとなるはずである。その中でもミラーで先制できると有効なポケモンはどういったものかを考えていきたい。蓋をあけたらルージュラミラーしか勝てませんでしたでは意味がないのだ。
ミラー意識でレベルを上げたいポケモン
レベル51でも良いので、2匹が相手のエース以外に先制を取る、そしてそれは2匹必要。
ルージュラ /ナッシー / ゲンガー
悪魔のキッス、眠り粉を先に当てられることが何よりも大きい。特にルージュラは体力の回復手段の眠るともそれほど相性が良くないことからルージュラミラーで先制できるのはとても美味しい。ともにレベル50採用が定番化しているので、まずはそれに先制することを目指したい。55のケンタロスを採用しない代わりにルージュラミラーで勝つぐらいの気持ちでいると良いだろう。
サイドン / ラッキー / ケンタロス / スターミー
吹雪を先に打てることが何よりも大きい。《ヒストリアカップ》においてはスターミーよりケンタロスの低レベル採用を見かけられるが、まだまだ高レベル採用が主流であり、バランス配分がミラー意識で機能することは少ないといったところだろうか。
性能向上のためにレベルを上げたいポケモン
ミラーとは無関係にレベルを上げておくとレベル無振りよりパフォーマンスが高くなるもの。こういったものをうまく手持ちに積み込めた時、相手の6匹への対応力は確かに上がるのかもしれないが、公式シングルバトルで大事なことは3対3での決定力である。よって前述のミラー意識よりは採用の優先度の下がるものだという心構えが必要でしょう。
サンダース
レベルの差が離れていても泥仕合になるため、ミラー意識でレベルを上げる必要は感じられない。
- レベル51採用 → レベル55のスターミーに先制できる
- レベル53採用 → レベル50のマルマインに先制できる
他の味方との組み合わせによるが、最近の対戦の傾向だとレベル55ラプラスの脅威、レベル55のフーディンに先制となる後者の方が前者より人気であるような気がする。
パルシェン / ウツボット
ラプラスと違って10万ボルトを覚えないので泥仕合になる。…と言っても殻で挟むを打つときに先制が取れることが望ましいが、パルシェン(と同速のウツボット)自体はミラーになるほどまだまだ人気が高くない。
- レベル51採用 → レベル55ラプラスに先制できる
今、流行のレベル55ラプラスに先制できなければパルシェンの価値は相当落ちてしまう。ちなみに同じS70族で眠り粉や巻き付くを覚えるウツボットも同様。
フーディン / ダグトリオ
- レベル52採用 → レベル55ケンタロスに先制できる
フーディンについてはミラーでも泥仕合となり易いが、先に身代わりを使われてしまうとサイコキネシスの追加効果による1/3の確率の特殊1ランクダウンが期待できなくなるため、電磁波を覚えさせることがポイントになる。
ダグトリオはレベル55ケンタロスに地割れを当てられなくなるため、このレベルは最低でも欲しいところ。そうでなければ、ケンタロスの受け出しが通用しやすくなってしまう。
フリーザー
- レベル52採用 → レベル55ケンタロスを吹雪で超高確率で2発で倒せる
ファイヤー
- レベル53採用 → 特殊はフリーザーと同じだが、レベル52ではレベル50のルージュラと同速になってしまう。レベル53以上は最低でも欲しい。
サンダー
-
レベル52採用 → 特殊はフリーザーと同じだが、雷の命中率は70であり、ケンタロスの影分身を1回使われると命中率は半分以下なので注意。ただし、レベル55ラプラスを10万ボルトで2発、ドリル嘴でレベル50ナッシーを2発で沈めることができるようになる。
模範的なサンプルバランス構築
まず、バランスであることのメリットを見失わないために最初は53ハーフエース型構築から組むことをお勧めしたい。そうそう、第1回で客演して頂いたクレアさんも公式大会で使用したパーティは53のトリプルハーフエースでした。
Lv | ポケモン | 技1 | 技2 | 技3 | 技4 |
---|---|---|---|---|---|
53 | サンダース | 10万ボルト | 電磁波 | 影分身 | 眠る |
53 | ケンタロス | のしかかり | 吹雪 | 影分身 | 破壊光線 |
51 | ルージュラ | 吹雪 | サイコキネシス | 悪魔のキッス | 影分身 |
51 | ナッシー | サイコキネシス | 眠り粉 | 痺れ粉 | 眠る |
51 | パルシェン | 吹雪 | 殻で挟む | 影分身 | 眠る |
51 | サイドン | 地震 | 岩雪崩 | 吹雪 | 影分身 |
- まず、ルージュラ、ナッシーで先制を取ってミラーマッチを制することを優先。相手の手持ち2匹に対して有利を取れることを考える。
- それらと相性の良い53のサンダースを加えて一旦の基本選出を完成
- 55ケンタロスがやや薄いので53ラプラスも考えるが、55ラプラスで来たときがやや困るので51パルシェンを起用する。
- 51のポケモンでは55ファイヤーも重たいので、サイドンを入れる。
- 味方のポケモンと相性が良く、相手の55ラプラスを引きずり出し易いケンタロスを加えて完成。なお、Lv.53にすることでしかかり→破壊光線でLv.55のサンダースを倒せるようになる。
ついつい、レベルを少し上げると活躍範囲の広がるウツボットやダグトリオに逃げてしまい易いが、大事なことは相手の選出した手持ちよりミラーマッチでリードすることでしょう。それを失念してはならない。
レベル55のルージュラのようにルージュラミラーだけでリードすれば良いのならそういうコンセプトの方が良いに決まっていて、レベル50で採用され易い、ナッシー、サイドンミラーをも制して先にゲームを展開することがバランス配分の構築では大事になるでしょう。レベルの振り直しができないので躊躇しますが、低レベルナッシーなども定番化してバランス配分の構築には相当上向きな環境となってきたと思ってます。