第二世代で初登場した「はらだいこ(Bellydrum)」の特集です。ゲームフリークの森本さんが「のろい(鈍い/呪い)」と同様に開発の最後の最後まで調整を繰り返した技であると小学館の『ポケットモンスター金銀 任天堂公式ガイドブック - ポケモンずかん』の開発インタビューで紹介していたことで有名(?)です。
また、昨年になって海外で金銀の腹太鼓に関する大変興味深い発見がありました。『ポケモンスタジアム金銀』以外の対戦環境では腹太鼓で消費する最大HPの1/2の体力が残っていなくても、物理攻撃力が2ランクアップするという仕様です。
これはバーチャルコンソール版にも活かせる仕様となっており、『ポケモンスタジアム金銀』の対戦よりも取れる立ち回りの幅が広がることで新たな発見がないだろうかと個人的に密かに期待している技の一つでもあります。
そこで今回は金銀の腹太鼓(とその火力)事情を探ってみることからはじめて見ました。
- A110:カビゴン
- A85:ニョロボン
- A84:リザードン
- A80:ガラガラ
- A75:ニョロトノ
- A75:ヤドラン・ヤドキング
- A70:ピクシー
- A65:ニョロゾ
- A55:ベロリンガ
- A50:マリルリ
A110:カビゴン
のしかかり/地震/腹太鼓/身代わり@食べ残し
火力・耐久は十分だが遅い。十分すぎる火力故物理攻撃力の個体値を下げて♀のメロメロまで搭載されることもある。トリックルームのような素早さによる行動順を逆転させる技は存在しないので、味方の高速移動→バトンタッチや電磁波、痺れ粉の麻痺で援護しないと止まる可能性が高い。唯一先手の取れる低レベルカビゴンあたりを起点にした身代わり&腹太鼓が活躍中。なんだかんだで身代わり腹太鼓が一番昨年発見された仕様を活かしやすそうではある。
A85:ニョロボン
ハイドロポンプ/捨て身タックル/地獄車/腹太鼓@黒帯
《こうげき》の近いリザードンと違って腹太鼓が遺伝技ではなく、旧技マシンの地獄車や捨て身タックルが使える。リザードンのようにエアームドを起点にできるようなポケモンではないが、受け出してきた吹き飛ばしはエアームドは黒帯装備の腹太鼓→地獄車で1発で倒せる。
バンギラスの隣の50フシギバナにも先手が取れるため、バンギラスキラーとして大変強力。ハイドロポンプは腹太鼓を積まずにレベル50のエアームドを約9割の確率で2発で倒せるようになる。
A84:リザードン
大文字/岩雪崩/目覚めるパワー格闘/腹太鼓@黒帯
リザードンの腹太鼓使用後の火力は破壊光線がないと1発で倒せない奴があまりにも多すぎる。55カビゴンを破壊光線でピッタリ1発ということはこの耐久ラインに近い50パルシェンと55ミルタンクにも破壊光線を打たなければならない。
つまり、これらのポケモンが2匹以上入った段階で破壊光線を2度打つ必要があり、反動の最中に対応されてしまう。これではリザードンのスピードを活かして腹太鼓を積む意味がない。また、地震と破壊光線にすれば、大文字で1発で倒せないサンダーのような飛行ポケモンにも破壊光線を打たなければならない。
そこでこの辺りに効果抜群の目覚めるパワー格闘を組み込むことで、それらが2匹組み合わさっても1発で倒せるようにしている。55オムスターも1発で岩ポケモンの攻略もサイドンなどを除けばある程度でき、ハガネールやエアームド、そしてナッシーにはタイプ一致の大文字で1発で倒せる。
ただし、スイクンやスターミー、ライコウなどの突破性能は落ちる。これはもう仕方ない。昔は55エース=決定力=全抜きみたいな信仰があったが、そもそもお膳立てをしないと活躍させるのが難しい炎で、それをやっても仕方ないと割り切った方が良い。刺せるところにスムーズに展開できるようにする。こういった目線を持って既存の技構成は見直さなければならない。
A80:ガラガラ
地震/岩雪崩/大文字/腹太鼓@太い骨
太い骨を装備したガラガラの剣の舞=太い骨を装備していないガラガラの腹太鼓になります。1.5倍の地震は破壊光線とほぼ同じダメージで、太い骨装備の剣の舞→地震でレベル55のカビゴンを乱数で1発と微妙に足りてないのも納得。
ちなみに地獄車は地震よりダメージが大きく、地震で乱数だったところを確実に1発で倒せます。『ポケモンスタジアム金銀』以外の対戦環境では腹太鼓を採用する場合はオーバーフローに注意が必要。
A75:ニョロトノ
捨て身タックル/地獄車/催眠術/腹太鼓@食べ残し
ニョロボンより火力は落ちるが、腹太鼓後の捨て身タックルで50ナッシーを高確率1発、地獄車で55カビゴンを1発で倒せる。ニョロボンと違って弱点が少なく、ナッシーのサイコキネシスやエアームドのドリル嘴で弱点を突かれることがありません。
ちなみに草の眠り粉と鋼の吠える吹き飛ばしを許さないリザードンの大文字に比べるとハイドロポンプは採用理由がハガネールを瞬殺できるぐらい。ニョロトノに雨降しなど付いてないのでその火力はたかがしれている。
交換強制力や素早さを活かして腹太鼓で展開するリザードンと同じことをやっても仕方ないので、ニョロトノの腹太鼓は催眠術があってこそだと思っています。歌う腹太鼓のピクシーより相手を若干眠らせやすく、バンギラスに先手を取れるという点が大きいと思います。
A75:ヤドラン・ヤドキング
ニョロトノと違って遺伝技なので捨て身タックルや地獄車を組み合わせることができない。カビゴンと差を付けられる電磁波との同時採用も勿論不可。素直にニョロトノか身代わり腹太鼓なら同速のカビゴンなどでやるべきことで、メロメロ電磁波身代わりとか地割れとかやった方が良いでしょう。
A70:ピクシー
恩返し/アンコール/腹太鼓/月の光@ピンクのリボン
《こうげき》は低いがノーマル属性の攻撃技が1.5倍になる。ピンクのリボン装備の腹太鼓の恩返しで55カビゴンを1発で倒せる。ニョロボンほどは安定しないがレベル55のカビゴンの目の前で腹太鼓を積むことのできるポケモンであり、なおかつ弱点が少ない。ただし、そのためにアンコールのような技も必要であり、月の光の採用を切らないと攻撃範囲が広がらないことも多い。
A65:ニョロゾ
地獄車/目覚めるパワーゴースト/催眠術/腹太鼓@黒帯
実はニョロトノより素早さが高く、S90族。レベル55で黒帯を装備すれば、レベル55のカビゴンやレベル50のパルシェンも腹太鼓→地獄車で1発で倒せる。目覚めるパワーゴーストを採用すると超高確率に変わるが、腹太鼓後にムウマやナッシーを処理するのに役立つ。
A55:ベロリンガ
カビゴンやピクシーの完全な劣化ポケモン。大人しく剣の舞を使って差別化しないとベロリンガの強みを出すこと自体が難しい。
A50:マリルリ
捨て身タックル/波乗り/腹太鼓/眠る@薄荷の実
ニョロトノより耐久力は高いが、腹太鼓において重要な能力は事後の素早さと火力であるため、力持ち特性の存在しない第二世代ではその劣化となってしまうことが否めない。レベル55の腹太鼓→目覚めるパワー格闘でもレベル50のカビゴンすら1発で落とせないため、火力はお察しである。
フェアリータイプが追加され、アクアジェットと同時採用できるようになった第六世代まではおとなしいポケモンまで活躍は難しそうである。